予言の書

数年に一度、ふと読み返したくなる漫画がある。高口里純の「傷つかないと」という本。小学生の頃に古本屋でふと買ったもの。おそらくそんなに有名な作品ではない。世界観は内田春菊の「物陰に足拍子」に少しだけ似ている。切なく刹那的な恋愛のようなお話なんだけど、当時10歳か11歳の自分がこれを自ら手にとって読んでいたことに驚く。意味は全然わかってなかったと思うけど、確かにそれは私の中に浸透して、今も私の中にある。そして今、30年以上前の自分がこの本をふと手にとった意味がわかる。そこには未来の私が絶対に学ばなければならないことが過不足なく凝縮されていた。もうこれって予言の書みたいなものね。

物語はシンプルで、家庭環境がよくなく家でも学校でも孤独な高校生の女の子が恋をして、いろんな苦しい感情を感じていくだけ。でも、この感情のところがすごくすごーくよく描かれている。はっとする言葉がたくさん出てくる。

一言でいうと「人を好きになるって楽じゃない」ってこと。そんなの知ってる人からしたら当たり前のことだろうけど、私がこれに気づいたのは本当に最近。遅い!学ぶタイミングは人それぞれだから仕方ないけど、未熟さゆえに必要な学びをすっ飛ばしてきた感はある。まぁこれも仕方ない、若いときはそこまでの理解力も器もなかったから。

思いどおりにならないフラストレーション、相手をコントロールしたくなる苦しさ、気持ちが伝わらないもどかしさ、投げやりになったり相手を試したくなったり、全く本当に楽じゃない。でも、好きになったら仕方ない。それが自分の本当の気持ちなら従うしかない。好きになるってそういうこと。そこがわかるようになったらクリアになって、こういう苦しい気持ちも変わっていくんだろうな。

恋愛だけでなく親子関係やすべての人間関係も同じ。世界ってこういう場所。ときには理不尽なこともある、欠如もある。苦しいときもある。信じられないこともある。すべてまるっと受け入れられたら、何より自分が楽になる。

幸せになりたい人、今人生がうまくいってない人は学ばなきゃいけないことがある。学べば学ぶほど楽になっていく。


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